藤鷹リリー・藤鷹喫茶室様制作のソロジャーナルRPG「dream mode.」を遊ぶ。
シナリオはこちら
ソロジャーナルRPGについては私も今回初めて遊ぶため、適切な説明は先達の優れた文章に譲る。
ここでは自分なりの現時点での解釈をまとめておく。
ソロジャーナルRPGは一人で遊べるRPGだ。必要なのは物語を記録するもの(紙とペン、あるいはキーボードとパソコン)、サイコロ(ランダムに数字を出してくれるもの)、そしてシナリオである。
シナリオは遊ぶ前に最後まで読んでも問題ないらしい。この「dream mode.」も最後まで読んだが、シナリオはダイスが参照する指示表としての要素が強く、キャラクターとロールプレイによっていくらでもストーリーは分岐するためネタバレを気にしなくていいことが分かった。
実際に遊んでみて「こうしたほうがいい」という改善点はいくらでも見つかるだろう。
とりあえず現在は、「寝る前の時間を自分の世界に没頭して充実させるため」に、ソロジャーナリングRPGを遊ぶ(最終的にはすべてアナログで完結させたい。そのほうがより寝る前向きだろう)。
早速やっていこう。
この記事の章タイトルはリンク元の遊び方に準拠し、リプレイはシナリオを参照する形で書いていく。描写については引用だとはっきり分かるように書くが、そうだと分かりづらい部分もあるだろう。
リプレイは今回初めて書く。どこまでが著作権侵害に当たらないか慎重を期しているが、何かあればご指摘願いたい。
事前準備
1. キャラクター
今回は「結城理生」というキャラクターを用意した。
シナリオの性質から自分に近しい人物が物語に没入しやすいだろうということで、私をデフォルメした性格と経歴にした。
【外見】
155cm 53kg 黒髪 眼鏡 GUで買ったカジュアルウェア。靴にはこだわりがあり、本革の靴かサンダル、スポーツメーカーのウォーキングシューズを履いている。
【日常】
昔はアクティブで旅行など楽しんでいたが、コロナ禍以降はインターネット上で友達を作りゲームをするなどして遊んでいる。
見た目に関しても、昔はこだわっていたがコロナ禍以降は気を遣うべき場所と習慣から離れた。
料理と散歩、読書を毎日行っている。丁寧な暮らしが心の棘を取り除き生産活動のための基盤を整えると信じている。
【性格】
楽観的で内向的。基本的に他人との衝突を避けるが、本当はかなり怒りっぽい。心理学の本を読んで自省しようとしているがうまく行かず、最近はカウンセリングに通っている。
【仕事】
薄給デザイナーであり趣味小説家でもある。
通信大学生でもあるのだが、文学部の勉強の傍ら小説を書いたり演劇に関わるようになったら学業どころではなくなってしまった。文学について実践と鑑賞の機会は増えたものの、これでいいのだろうかと悩んでいる。
経済面については投資が順調に回っており心配はない。
【家族】
妹、母、叔父、祖母が二人いる。関係は良好だ。
【トラウマ】
父親の不在、性暴力から男性恐怖症、給食指導から会食恐怖症、その他自然に対する一通りの恐怖症を持つ。
外出時はものすごく神経を使うが、かえって怪我や事故には遭いにくい。
【苦手なこと】
力仕事、単調な作業、器用さを必要とされる動作、俊敏な動き。
複数人で話すこと。人間の出す音。混雑。
2. メモやダイスツール
メモは、Bloggerを大胆にテキストエディタとして使用する。
ダイスはAmazonで買った物理ダイスを使用する。生まれて初めて所有する12面ダイスに興奮している。
3. 夢の案内人を設定
1D12 夢の案内人 表から
11:時間の止まった時計
他の選択肢を魅力的に感じサイコロを振り直しても11が出たため、運命だと思いこれにした。
4. 遊ぶ回数
とりあえずPCが見る夢は5つの回想に分かれているようなので、5層を一周遊ぶ。
(1層につき10分ほどかかるらしい。)
夢の旅路 はじまり
1.導入
描写:まぶたを閉じると、世界の輪郭がゆっくりとほどけていく。 音も、色も、重さも……すべてが遠のいて、静けさに包まれる。やがて、微かな風とあなたを呼ぶ気配。目の前に広がったそこは現実とは少し違う、けれどどこか懐かしい風景だった──。時間の止まった時計はあなたへ「よく来たね」と伝えた。
その時計は私が幼いころ目覚ましに使っていた時計だった。大きくて、重くて、毎朝けたたましい音で私を起こしてくれた。確か、私が鬱になって壁に叩きつけて壊してしまったのだっけ。あのときは、悪いことをした。
「あのときは、ごめん」
私はこれが夢の中だと分かっているから、時計に向かってそんなことを言った。時計は表面のプラスチックがひび割れていて、針も止まっていた。だというのに、私を恨むような素振りは一つも見せず、穏やかに言った。
「慣れっこさ。そのために僕らは丈夫にできてる。君をもう起こせなくなったことは、悲しかったけれどね」
これは私の夢の中だ。だから時計は、私が彼に言ってほしい台詞を口にしているに過ぎない。私は昔使っていた目覚まし時計に、私の理不尽な暴力で壊れてしまった献身的な道具に、赦してもらいたいのだ。
「君の言いたいことは分かるよ」
いつの間にか時計はにょろにょろと、白く透き通った腕を胴体から伸ばして私を立たせた。その腕に触れられてもいやな感じはしなかった。風の谷のナウシカに登場する、王蟲の触手を思わせた。
「まぁそれでも、いいじゃないか。難しいことを考えすぎるね、君は」
「大人になったからだよ」
私の視線はまだ足下に向いたままだった。時計は話し続ける。
「大人はかえって難しいことを考えなくなるものさ。君を今内省的にしているのは夢のせいだよ。僕みたいなのがここにいるのがその証拠だ」
「確かに、あなたに夢の中で会うのは初めてだね」
そこで初めて、私はひび割れた時計を直視した。時計を投げつけて壊したのは昼間だった。針は二本とも上の方を指している。
「ここは普段君が見る夢とは違う世界だ。先へ進もう。大丈夫、僕がいるよ」
「ありがとう」
私は時計の腕に引かれて、夢の世界へと踏み出した。
第1層:表層
時間の止まった時計「夢の入り口へようこそ。ここは、あなたが普段どんな風に生きてきたか。その面影が滲む場所。どんな言葉を交わし、誰と笑い、歩いてきたのか。思い出せる範囲で構わない、少しずつ、ほどいていこう」
1D6 ロケーションA 4: 教室や会議室
1D12 ロケーションB 3: 誰かの声がして振り向く、そこには誰もいない。
ロールプレイ6回
「呼ばれた気がして、後ろを振り向く。教室の窓が開いていて、たった今吹き込んできた風がカーテンを揺らしている。」
「教室は一階だ。眩しい白い光が室内に這入り込み、ワックスがけされた床をぴかぴかと照らしている。」
「なんとなく今は春に近い季節な気がする。陽光が温かい。机の一つを撫でると、指に木の温もりが伝わる。」
「私はセーラー服を着ている。今の私ではなく、中学生のころの私。昔よくしていたように、緑色のスカーフに手を滑らせる。」
「ここには誰もいない。誰も来ない。ここでずっと待っていたら、誰に会えるのだろう。誰にも会えない気がする。」
「国語の先生に会いたいと思う。私の文章を褒めてくれた人。とてもお世話になった。今でも言葉が好きだと伝えたい。」
描写抽出3個→1, 6, 5
時間の止まった時計「呼ばれた気がして、後ろを振り向く。教室の窓が開いていて、たった今吹き込んできた風がカーテンを揺らしている。
国語の先生に会いたいと思う。私の文章を褒めてくれた人。とてもお世話になった。今でも言葉が好きだと伝えたい。
ここには誰もいない。誰も来ない。ここでずっと待っていたら、誰に会えるのだろう。誰にも会えない気がする」
第2層:裂け目
時間の止まった時計「ここは、ほんの小さな違和感から始まる夢の裂け目。きっとあなたも覚えているはず。うまく言葉にできなかった不安、置き去りにした感情。忘れようとしたそれらを、まずは見つめてみよう」
1D6 ロケーションA 6:崩れそうな橋の上、向こう側の存在
1D12 ロケーションB 11:光と影の境目に立っている。
ロールプレイ6回
「中学生のときは小説家になりたかった。中学校の美術部で書いた作品を友達に読んでもらうことが嬉しかった。」
「昔は有名な小説家になることが夢で、小説を書き続けること自体を夢だとは思っていなかった。」
「私の足下は不安定だ。小説家になるための覚悟や習慣があって目指していたわけではない。だから高校を卒業すると同時にその夢を捨ててしまったのだろう。」
「けれども私は時間をかけてその夢を取り戻した。気がつけば、私の作品を待っていてくれる人に囲まれていた。今が幸福だと思う。」
「当時の私に言いたい。向こう側には行けなかった。けれども、こちら側で、私は小説を書き続けていると。」
「たくさんのものを失った。けれども、小説のない人生には興味がない。これでよかったのだ。そう、これでよかった。」
描写抽出3個→5, 3, 2
時間の止まった時計「当時の私に言いたい。向こう側には行けなかった。けれども、こちら側で、私は小説を書き続けていると。
私の足下は不安定だ。小説家になるための覚悟や習慣があって目指していたわけではない。だから高校を卒業すると同時にその夢を捨ててしまったのだろう。
昔は有名な小説家になることが夢で、小説を書き続けること自体を夢だとは思っていなかった。」
第3層:影
時間の止まった時計「……ここは、あなたが目を背けた場所。隠し通した影の形、向き合えなかった心の奥底。でも大丈夫。すぐに受け入れなくていい。ただ、そこに“ある”ということを認めることから、始めてみよう」
1D6 ロケーションA 2:鏡の部屋、自分によく似た誰か
1D12 ロケーションB 5:過去の自分が、あなたを責めるような目で見てくる。
ロールプレイ6回
「どうして私を責めるの? あなたは無謀だった。何の準備もしなかった。私は小説を勉強し、書いている。結果を出している。あなたに責められる謂れはない。」
「私が高校の普通科に進まなかったことを責めている? 文学部に行かなかったから? そこでなら普通の人生を送れたと? そんな保証はどこにもない。今歩んできた人生がすべてだから。」
「もっと若いうちからたくさん本を読んでいたら、周囲に影響されず自分の道を貫いていたら、確かに出版社から本が出ていたかもしれない。でもそれは、たらればの話だ。」
「あなたが責めていいのは、現在の私だけ。私は確かに一生小説を楽しむことを目標としているから、あなたが想像していたような作家先生の人生とは程遠い。」
「私にメジャーデビューできるように促しに来たの? そうだよね。大人はいろいろある、なんて言われても信用のないことは私にも分かる。いろいろは言い訳と飾りでしかない。」
「この部屋の鏡に映る私は、普段見る鏡の中の私よりも歳を取って見える。こんなに醜くなったんだ。あなたはもしかしたら、自分を変えるなら今と言いに来てくれたのかもしれないね。」
描写抽出3個→5, 3, 4
時間の止まった時計「私にメジャーデビューできるように促しに来たの? そうだよね。大人はいろいろある、なんて言われても信用のないことは私にも分かる。いろいろは言い訳と飾りでしかない。
もっと若いうちからたくさん本を読んでいたら、周囲に影響されず自分の道を貫いていたら、確かに出版社から本が出ていたかもしれない。でもそれは、たらればの話だ。
あなたが責めていいのは、現在の私だけ。私は確かに一生小説を楽しむことを目標としているから、あなたが想像していたような作家先生の人生とは程遠い。」
第4層:原風景
時間の止まった時計「さあ、帰ってみようか──最初の記憶へ。小さな手、小さな声、見上げた空。あなたという存在が編まれた始まりの糸を、辿っていくんだ」
1D6 ロケーションA 2:学び舎の校庭、夕焼け
1D12 ロケーションB 11:泣くこともできずに見送った日
ロールプレイ6回
「卒業式の前日に、クラスメイトが心臓の病気で死んだ。そういう持病を持っていて、普段から運動を控えていた。お茶目だけれど、素はおとなしい子だった。」
「送別と葬送の悲しみが絵の具のように塗り重ねられた空気の中、卒業式は行われた。学級委員の男の子の足が震えていたのを覚えている。」
「彼は卒業式後、みんなで校庭に出てきて写真を撮っているときは笑顔を見せていたが、私の前ではティッシュを一枚だけ受け取って涙を拭いていた。」
「私は何も言えなかった。見ていることしかできなかった。ティッシュはすべてあげてしまえばよかった。それくらいの優しさを示せばよかった。」
「亡くなった子のことをいつまでも覚えていたいと思った。愛すべき人の記憶を留めるために小説を書く、と決めたのは、だいぶ後のことだった。」
「無力だった。抗えない運命にも、友達の涙にも、何もできない。何もできないままでいたくない、と今なら、せめてそれくらいは、思える。」
描写抽出3個→1, 2, 4
時間の止まった時計「卒業式の前日に、クラスメイトが心臓の病気で死んだ。そういう持病を持っていて、普段から運動を控えていた。お茶目だけれど、素はおとなしい子だった。
送別と葬送の悲しみが絵の具のように塗り重ねられた空気の中、卒業式は行われた。学級委員の男の子の足が震えていたのを覚えている。
私は何も言えなかった。見ていることしかできなかった。ティッシュはすべてあげてしまえばよかった。それくらいの優しさを示せばよかった。」
第5層:核心
時間の止まった時計「ここが最後の扉。あなたの夢が伝えたかったこと。その先にあるのはあなた自身。選ぼう──この夢をどう終えるかを」
1D6 ロケーションA 5:鏡の中、自分と交わす言葉
1D12 ロケーションB 9:あふれ出す映像と声と温度。これはあなたが“いらない"と決めた過去
ロールプレイ6回
「鏡の中の少女が私を見ている。陰気な顔立ちの中の瞳には私への怒りが宿る。当然だ。私はあなたを恥だと思い、別人として切り捨ててしまいたかったのだから。」
「あなたは他人への思いやりに欠け、してもらうばかりで、他人に何かを与えるということをしなかった。優しさをほしがるのに他人に優しくしなかった。そんな人間は、嫌われて当然だ。」
「でもあなたがたくさん本を読んでくれたから、小説を書き始めてくれたから、今の私がある。あなたには感謝もしている。あなたのすべてを否定することはない。」
「立派な大人になっていなくてごめんなさい。私は何もかも中途半端だった。反省するばかりで、楽な現状から動こうとしていない。それをあなたには、見抜かれていたんだね。」
「明日からちゃんと小説を書く。この小説は賞に応募しようと思っている。必ず最高の形で完成させて読者に届ける。だから応援してほしい。私が目標を達成できるよう、祈っていてほしい。」
「あなたを黒歴史になんてしない。本を読んでくれてありがとう。小説を書いてくれてありがとう。笑っていれば、あなたにも笑いかけてくれる人が現れる。人を信じることを恐れないで。」
描写抽出3個→4, 6, 2
時間の止まった時計「立派な大人になっていなくてごめんなさい。私は何もかも中途半端だった。反省するばかりで、楽な現状から動こうとしていない。それをあなたには、見抜かれていたんだね。
あなたを黒歴史になんてしない。本を読んでくれてありがとう。小説を書いてくれてありがとう。笑っていれば、あなたにも笑いかけてくれる人が現れる。人を信じることを恐れないで。
あなたは他人への思いやりに欠け、してもらうばかりで、他人に何かを与えるということをしなかった。優しさをほしがるのに他人に優しくしなかった。そんな人間は、嫌われて当然だ。」